東京までママチャリで行った話⑦
6日日 後編 宇都宮~???
《チャリ崩壊》
自転車屋さんを出発した僕はとにかく前だけを見た。 タイヤがまたパンクしてしまう前にどれだけ宮城への距離を縮められるか、それがまずは目標だった。
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思った以上に自転車を前に進ませることが出来た。しかし、遂に2度目のパンクが訪れた。
最難関である那須高原の山々はなんとか乗り越えられたが、福島と栃木の県境で再びタイヤは力尽きてしまった。
そこからはタイヤがパンクしたままのチャリに乗ることとなった。もちろん乗り心地は最悪である。雨風はいっそう強くなるばかりで、寒さが僕の体温をどんどん奪っていった。
ふと前を見るとイオンマーケットがあった。イオンマーケットはよく利用するが、コスパもよく最高である。
僕は店内でおにぎり3つと水を購入した。これだけ買っても300円ちょいの値段なので大変お得である。
ふと外を見ると雨が少しだけ上がっていて、風の音が鮮明に聞こえた。自分は軽く目を閉じてこれまでの旅の流れをイメージした。
自分が辿ってきた道のこと、出会った人のこと、行った場所のこと……。
自分は素晴らしい体験経験をしているなあと改めて感じた。旅をしていることに幸せや喜びを感じた。旅こそ人生を変えてくれるものだなと思った。
色んな思いが巡り巡って
"よし!!頑張るぞ!"
と、その瞬間思った。
そして自分は再びチャリを漕ぎ出した。
タイヤがパンクしているものの自分はなりふり構わずにとにかくペダルを漕いだ、漕いで漕いで漕ぎまくった。
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辺りがだいぶ暗くなってきた。交通量も減ってきて、人影も少なくなった。
相変わらずチャリの方はボロボロで漕ぐたび漕ぐたび鈍い音を出す。もうふざけんなよと思いながらも漕いでいた。その時である。
「パーン」
と今まで聞いたことのないような音が響いた。タイヤはパンクしているはずだし、何だろうなあと思いながらも、スマホのライトでチャリを照らした。
その原因はすぐに分かった。
チェーンが切れていたのだ。
僕は再び絶望に陥った。
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考えていても時間は過ぎる一方なので、まずは休憩できるスペースを探した。するとコンビニのイートインスペースがあったので、一目散にそこへ駆け込んだ。
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イートインに荷物を置き、トイレで濡れた服を全部脱いで着替えをし、とりあえずイスに座った。
"やべーどうしよう……………終わったかも……………"
宮城までは残り60㌔…
とてもじゃないがチャリを引っ張りながら帰れる距離ではなかった。
僕は自転車を直せないか見に行ってみた。しかし、チェーンは綺麗に2つに分断されていて、しかも部品の一部がない状態だった。直すのはとうてい不可能だった。
僕は再びイスに戻った。
そしてコンビニでラーメンとおにぎりをとりあえず購入して、考えた。
「迎えを呼ぶか、呼ばないか。」
正直、60㌔など考えられない距離だ。
自分の地元の白石から県庁所在地である仙台でも約40㌔もの距離がある。
自分は迷った。ひたすら迷った。何度も何度もLINEの電話ボタンを押すか押さないかで迷った。
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ようやく、僕は一つの答えに辿り着いた。
【絶対に押さない、最後まで自力で帰る】
60㌔、たしかに歩いてじゃとうてい不可能に思えるかもしれない。ケガをするかもしれない。
けれども、今回の旅は自分が勝手に言い出したチャレンジである。自分以外に周りは関係ない。自分で事態を収拾しないとなんの意味もない。自分一人で頑張るからこそ一人旅の本当の真意が見えてくる。
自分はそう思ったのだ。
僕は音楽を聴いた。
安室奈美恵ちゃんの「HERO』だ。
彼女が引退宣言をしてからというもの、毎日のようにこの曲を聴いてる。本当に勇気をもらえる曲の一つだと思う。本当にいい曲だ。
それを聴きながら
「自分は絶対に帰れる、自分は絶対にできる」
そっと心の中でそうつぶやいた。
時刻は午後11時を指していた。
今朝の母へ送ったLINEのメッセージを思い出した
「夕方にまでは帰る」
夕方がどのくらいかは分からないが、大体午後4時から6時くらいだろう。
60㌔を徒歩だけで進むとなるとかなりの時間がかかる。
時間を逆算すると、次の日の午前1時30分に出発するのが望ましいことがわかった。
体力は既に限界だったが、もうやるしかないと思った。
僕は机にうつ伏せになりながらゆっくりと瞼を閉じた。いよいよ旅は最終局面を迎える。
続く……………
~プチ旅のエピソード~
いやー今回はこれがメインの投稿になっちゃいましたが、イートイン!!
最近、コンビニではイートインを設けている場所が増えてきましたが、このイートイン!旅の中ではまじで便利!!
もう1位2位争うくらいあってよかったなあと思う場所、というかツールです笑笑
充電できる、屋内で食事ができる、何時間いてもあまり注意を受けない(今回はまったく僕は受けませんでした)暖かい。
もう最高です。
これがなかったら間違いなく僕は餓死してたでしょう。自分にとって女神みたいな存在です。
今のコンビニ業界はすごいですよね。コンビニとTSUTAYAが合体してたり、コンビニとスタバが合体してたり、
一見普通にも見えるけど、こういうのってすごく大事。ビジネスマンの移動時間も抑えられて経済効果も期待できそうな気もします。
今回、そして6日日のチェーンが切れて絶望の絶望にいた時、救ってくれたのはこのイートインでした。人ではありませんが、感謝しかないです。
とにかくイートイン、素晴らしい笑笑
今度旅に出た時もおそらくお世話になるでしょう。
皆さんも旅に出た時はイートインをしっかり確認しておくことが重要です。
それではまた。
おわり。