東京までママチャリで行った話⑧
7日目 前編 福島二本松~宮城白石
《60㌔徒歩スタート……………》
目が覚めると、ちょうど午前1時半だった。
こんなに時間ぴったりに起きることがあるのかとも思ったが、考えてる暇もなく、僕は荷物をまとめて壊れたチャリのところへ向かった。
ちなみに二本松は福島のどこら辺なのかというと
位置情報があるところが二本松、そして白石が黒い丸で囲んであるところとなっている。
この白石と二本松の距離がおよそ60㌔となっていて、この日はこの距離を歩くことになった。
コンビニを抜けて外を見渡すとそこに広がるのは闇だった。いくら進んでも闇があるばかりで、少し車のライトがその闇の中から顔を出すくらいだった。
二本松から白石までは平地な道があまりないため、歩きで行くことになると体に相当な負担となる。
暗闇の恐怖と疲れ、そして眠気が体を蝕んだ。
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何時間ほど歩いただろうか、睡眠不足により真っ直ぐ歩くこともままならなくなってきた。
ここで僕は思わぬ展開に直面することになる。
なんと警察の人に会ったのだ。つまり補導である。
当たり前だが、深夜の真っ只中、山道を歩いている人など一人もいない。警察の人からすれば相当怪しい人に見えたのだろう。
「今何してるの?」
警察の人にまずこう聞かれた。
それに僕は
「旅をしています」
と答えた。
もちろんこれにはかなり驚かれた。
自転車がロードバイクなどではなくママチャリだからということもあったのだろう。
そして次に
「なんで旅をしようと思ったの?」
とかなり具体的な質問も聞かれた。
それに僕は
「中学校の頃からずっとやりたかったからです」
としっかり答えた。
これにはさすがの警察官も失笑するしかなかったようだ。
警察の人によると、18歳以上でもどうやら学生のうちは、深夜は出歩いてはダメのようだ。
軽く自分は注意を受け、補導は終わった。
別れ際に警察官は僕に
「気をつけて旅するんだよ」
と一言くれた。
有難いな、と思いながらも急ぎ足で、僕は道を歩いていった。
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「道の駅だ!!」
ふと前を見ると、道の駅があった。寒さで体が限界だった僕はすぐに道の駅に駆け込んだ。道の駅には24時間営業のコンビニもあって、僕はそこで暖かいコーヒーとカップラーメンを購入した。
寒さに震えながらも、だんだん体がじんわりしていくのを感じた。
道の駅はまだ誰もいないため暗く、室内はシーンとしていて、ただ外の雨の音だけが聞こえた。まるで嵐のような雨だった。
時計を見ると午前5時を回っていた。二本松のコンビニを出発してから既に3時間半が経っていた。もちろん、これまでに3時間半歩き続けたことなど専らなかった。
だんだん目が開かなくなっていた。
気づいたら僕は夢の中にいた。
今日中に帰れるだろうか。
続く……………