東京までママチャリで行った話⑨
7日日 後編 福島~宮城
《遂に…到着》
30分ほど仮眠を取ったところで、僕は道の駅を出た。雨と風との格闘がまた始まる。
だいぶ慣れてはきたが、やはり暖かさが欲しい、ということで僕は道の駅を出る前にホッカイロを購入していた。
(家で撮影)
やはり、ホッカイロがあるかないかでだいぶパフォーマンスも変わってくる(歩くだけだけど笑)
僕はひたすら歩いた。早く家に帰ってみんなに会いたいと思いながら。
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ようやく、福島市に着いた。これまでの山道とは打って変わって、建物などが多く立ち並ぶ。
もう少しでフィナーレだな。そう思いながらまた歩いた。
だが、ここでまたもや予想外のことがおこる。
足が痛みだしたのだ。部分的にいうと左足の外側で、いわゆる肘関節というあたりだ。
この時のことは今でも覚えているが、本当に涙が出そうなくらい痛かった。
後の診察で疲労骨折であったことが分かったが、この時は知る由もなかった。
もはや気合いの域だった。僕は必死に踏ん張った。歩くたびに鋭い痛みが足を襲う。
「もう少しだ、もう少しだ」
何度も何度も呟いた。
前を向いて歩くのもままならない中、僕は福島と宮城の県境まで来ていた。けれども、そこには果てしなく続く坂道が待っていた。ゴールを妨げるかのように……………
「うぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉおお」
もはや折れるんではないかというくらいの力で足を地面につけて僕は登った。
登った、1秒でも早く家に着きたかったから。
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気づくと白石市内に僕はいた。
遂にここまで来たんだと僕は安堵のため息をついた。
「もう少しだ、もう少しで、家だ、早く風呂に入りたい」
そんなことを呟きながら歩いていた覚えがある。
そしてとうとう僕は家に着いた。
「よっしゃぁぁぁぁぁぁぁ、着いたぁぁぁぁぁぁぁっ」
僕は叫んだ。めちゃくちゃ嬉しかった。
何度も何度も泣いた。自分の足で最後までやり遂げたのだ。すごいことを、ビックリするようなことを、自分の足で。
僕はすぐ家の中に入り、お湯に浸かった。
ふと浴室の鏡を見ると体はボロボロだった。ストレスからなのか、肌が乾燥し、ある所には見覚えのない傷もついていた。足の裏は見るに堪えないほど、豆が潰れていて、グチャグチャになっていた。
グロいなあと思いながらも僕はお湯の中でゆっくりと目を閉じた。
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風呂から上がって僕は最初にSNSを眺めた。
こんなにゆっくりスマホをいじれるのはいつぶりだろうか、そんなふうに思った。
LINEではいつも仲いい友達が他愛もない会話を、Twitterではどうでもいいようなつぶやきを、Instagramではインスタ映えするような写真を、そしてFacebookでは僕のフレンドがいつものようにビジネスのことや趣味のことをアピールしていた。
いつもと変わらぬ風景だなあ^^*
そんなことを考えながら、僕は少し微笑んだ。
日常に戻ったんだなと思いながら……………
おわり。